
アメリカの性教育NGOが製作している性教育動画「AMAZE」では、保護者・大人が性教育を行う上でのポイントを、動画でわかりやすく学ぶことができます。
下記にて保護者向け動画シリーズを紹介しますが、お子さんと一緒に「AMAZE」の動画を見たり、話し合うきっかけとしてご活用ください。
①子どもに性についてどう話す?
幼い子どもに性について話す必要を感じなかったり、ご自身も習わなかった、性は恥ずかしいことだと教えられて育ったという人も多いのではないでしょうか。
昔から大人達は性について隠すことが子どもを守ると考えてきましたが、性について きちんと学んだ子どもは性行動が慎重化し、性に限らず何事にもよりよい判断ができることが分かってきています。
性に関する言葉も単なる言葉。性器やマスターベーションなども、口に出していい言葉なのです。鏡の前で言う練習をして、子どもと性の話をする心の準備をするのもいいでしょう。
●親が子どもに性について話すのは、母親が娘に、父親が息子に話すのがいい?
特に幼い子どもは大人に相談する時、親の性別より信頼できるかどうかを重視します。「誰でも性について話していいし、学び合える」と伝える事が大切です。
②赤ちゃんはどこからくるの?
子どもから突然、「赤ちゃんはどこから来るの」と質問されたら、なんと答えればよいでしょうか。
子どもの脳は、4歳ごろには大きく発達しながら、空間や時間について習得し、著しく成長します。この質問の場合は、自分という存在が時間や周りの全てとどう繋がってるか知りたいだけということがほとんどです。ですから子どもには、生まれる前は女性のお腹の中にある子宮という場所で育ち、外につながる膣というところを通って生まれたんだよ、ということを科学的に説明することができます。
③赤ちゃんはどうやってできるの?
子どもから、「赤ちゃんはどうやってできるの?」と質問された時に、なんと答えたらいいかわからず、戸惑ってしまう方もいるかと思います。
しかしこのような場合、子どもは性行為ではなく自分がどう生まれたかについて興味を持っている場合がほとんどです。子どもは6歳頃から、原因と結果という概念が理解できるようになります。赤ちゃんは男性の精子が女性の卵子と合わさることによってできる、ということを科学的な観点から説明することできます。パズルのピースのように、等という比喩表現を使うのも一つです。性についてきちんと答えることで子どもの好奇心を高め、次の質問を促すことができます。正しい用語を使って説明し、子どもが性をタブー視することなく、何でも質問できる状況を作ることが大切です。
●体外受精や同性同士の親をどう説明すればいい?
どのような家族のかたちであっても、子どもが精子と卵子から誕生したということは同じです。卵子が別の方法で精子に出会い、女性のお腹の中で育ったと伝えることができます。
④子どもからこんな質問をされた時は…?
私たちを取り巻くテレビやラジオ、インターネットからは、下ネタ・卑猥な言葉など、子どもに触れさせたくないと思うようなコンテンツが流れてくることがあります。
しかし、子どもが触れるものをいくら制限しても、完全に世界から遮断することは不可能です。このようなコンテンツは幼い頃にはすぐ忘れる事が多いので、成長してから私達の価値観を新たに伝える事もできます。また、子どもから答えにくいような質問をされた時、「あなたにはまだ早い」というような答え方をしてしまうと、子供が質問しにくい環境を作ってしまいます。大切なのは、事実をシンプルに 伝えるということです。
●「レイプってなに?」等、答えづらい質問を子どもからされたら?
まだ幼い子供の場合だと、大人にとっては答えづらいと感じるような話題を、大人たちの様には捉えておらず、単に自分をとりまく世界についてもっと知りたいだけであることがほとんどです。そのため、事実をシンプルに伝える事で子どもの疑問に答えることが出来ます。
例えばレイプであれば、 性的な行為を強要する犯罪だと説明することができます。また、思いやり・優しさ・尊敬・責任等、繋がりについて伝えれば、レイプという行為がそれらの価値観と照らし合わせて良くない事だと理解させることができます。子供がもっと 幼い場合は、レイプは悪い事だと説明するだけでも良いでしょう。
●子どもが安全にインターネットを使うには?
スマホやタブレットなど、インターネットに接続できる機器を持っている子どもが増えています。保護者が使い方を見せてあげたり、使用時間を制限したりすることで、責任のある安全な使用が望めます。また、他の親達と意見や情報を交換して、納得できるルールを決めるのもいいかもしれません。
⑤もし子どもが性について聞いてこなかったら?
子どもから性について質問がない場合は、大人から会話を始めましょう。どうやって始めればいいかわからない方は、まず日常の話題から始めてみるといいでしょう。「あの女性を見てごらん」「お腹の赤ちゃんはどうやって大きくなるのかな」と会話を広げてみるのもいいかもしれません。以前子どもから質問があった場合は、「この前 お腹の赤ちゃんがどこで育つか話したの覚えてる?」と聞いてあげることもできます。初めから完璧に説明できなくても構いません。以前に全く違うことを伝えていても、保護者はいつでも正しい説明をし直すことができます。
●子どもとの性の会話の始め方
子どもとの性の会話を始めるきっかけとして、たとえばこのように話しかけてみてはいかがでしょうか。
- 前に〇〇について聞いてきたこと、覚えてる?
- 今まで一度も話したことがないんだけど、そろそろ話してみようかな。
- 面白い本を図書館で見つけたんだけど、一緒に読んでみようか!
- 〇〇について話したときを覚えてる?
- 見て、あのかわいい赤ちゃん!赤ちゃんってどこから来るのか考えたことある?
- 青いワンピースを着てるお姉さんが見える?彼女は妊婦さんだよ。どういうことか分かる?
●たとえば「赤ちゃんはコウノトリが運んできたんだよ」等、もし以前に全く違うことを伝えていたら?
以前に全く違うことを伝えていたとしても、その間違いを認めることで、訂正することが可能です。「赤ちゃんはコウノトリが運んできたって話を覚えてる?あれは本当は違うんだ」「この前どうやって赤ちゃんができるか聞いてたよね。あの時は言えなかったけど今は答えられるよ」といったように、説明はいつでもやり直すことができるでしょう。