避妊せずに性行為をした、コンドームがやぶれた、はずれた、低用量ピルを飲み忘れたなど避妊の失敗があった、性被害にあってしまった時、緊急避妊薬(アフターピル)や子宮内避妊具によって緊急避妊をすることができます。
- 緊急避妊薬(アフターピル)とは?
- 緊急避妊ってどんな種類があるの?いくらかかるの?
- 緊急避妊薬の入手方法は?
- 緊急避妊薬の注意点って?副作用や身体への影響は?
- 緊急避妊の成功を確認するには?
- ピルコンでは、緊急避妊薬のOTC化を求める署名キャンペーン中!
アフターピルってどこで買えるの?
緊急避妊薬は病院の受診と医師の処方箋が必要な薬です。下記サイトから、処方可能な医療機関を調べることができます。
▶緊急避妊に関する診療が可能な医療機関について(厚生労働省)
2023年11月から、全国145か所の一部薬局での試験的販売が開始されています。
詳細や取り扱い薬局一覧は、こちらをご覧ください。
※調査内容を確認し、4つのチェックボックスにチェックを入れ「確認しました」をクリックすると、取り扱い薬局を確認することができます。
▶日本薬剤師会 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業サイト
緊急避妊薬のアクセス改善を求める活動についてはこちら
※情報の誤りや追加の情報がありましたら、お問合せよりお送りください。
1.緊急避妊薬(アフターピル)とは?
避妊に失敗した時や性被害にあった時は、女性が産婦人科・婦人科を受診し、72時間(3日)以内に緊急避妊薬(通称アフターピル、緊急避妊ピルともいいます)を服用することで、妊娠を防ぐことに役立つ薬です。緊急避妊薬は、性交からできるだけ早く服用することが効果的で、主に排卵を遅らせるなどの作用により妊娠の成立を防ぎます。そのため、緊急避妊薬服用後には避妊効果が続きません。避妊の成功が確認できるまで、効果的な避妊法の使用もしくは性行為を避けることが勧められます。
緊急避妊薬はあくまで緊急用のもので、普段の避妊法としては向きません。
⇒普段の避妊法に使えるものって?詳細は、避妊へ
2.緊急避妊ってどんな種類があるの?いくらかかるの?
- 緊急避妊薬
日本で認可されている緊急避妊薬はLNG(レボノルゲストレル)緊急避妊薬で「ノルレボ錠」、「レボノルゲストレル錠(ノルレボのジェネリック薬)」という2種類の薬があります。緊急避妊薬は性行為からできるだけ早く、72時間以内に1錠服用します。緊急避妊薬の服用までの時間と妊娠阻止率は、24時間以内(95%)、25~48時間以内(85%)、49~72時間以内(58%)と、早く服用した方が効果が高いことがわかっています。ノルレボの添付文書によれば、実際に緊急避妊薬を72時間以内に服用したにも関わらず、妊娠してしまう確率は1.34%と報告されています。価格は6000円~2万円ほどですが、自由診療となるため、医療機関によって価格が異なります。
中用量ピルを 2 錠、さらにその 12 時間後に 2 錠服用するという「ヤツペ法」と呼ばれる方法も以前は使われていましたが、ノルレボと比較して安価な一方で、効果が劣り、副作用も出やすい方法です。
性犯罪・性暴力被害にあった場合は、警察(全国共通#8103)や性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(全国共通#8891)に相談できます。緊急避妊等にかかる費用を負担してもらえたり、さまざまな支援を受けられます。
日本産科婦人科学会『緊急避妊法の適正使用に関する指針』より
Lancet 1998; 352: 428-433
- 銅付加IUD(子宮内避妊具)
性行為から120時間(5日)以内に産婦人科・婦人科に受診し、子宮内に銅付加IUDという子宮内避妊具を装着する方法です。妊娠経験のある方におすすめです。一度挿入すれば、数年にわたり避妊が可能で、その後、普段の避妊にも使える方法です。価格は2万円~5万円ほどです。※2023年3月に日本では銅付加IUDは製造中止となりました。
⇒詳細は、避妊へ
3.緊急避妊薬の入手方法は?
緊急避妊薬や銅付加IUDは産婦人科・婦人科などの病院を受診し、処方(銅付加IUDの場合は装着)してもらう必要があります。事前に医療機関に取り扱いや価格を問い合わせてから受診することをおすすめします。上記に掲載した処方可能な医療機関の一覧から調べることができます。
緊急避妊薬の入手先と探し方
●病院検索サイトでの検索
緊急避妊に関する診療が可能な医療機関についての厚生労働省のサイト や日本家族計画協会ピル処方施設検索の他、休日・夜間の場合は病院検索サイトなどで、休日診療している婦人科・産婦人科、救急科、内科などの医療機関を検索し、問い合わせをして確認できます。
※緊急避妊薬の取り扱いや診療時間については医療機関に事前に電話等で問い合わせてご確認いただけると安心です。
●当番医の検索・総合病院
休日や連休中等で受診可能な病院を探したい時は、お近くの消防署に問い合わせ(119番ではなく、地域の消防局などの電話番号をお調べください)をしたり、「ご希望の市町村 当番医」「ご希望の市町村 休日診療」などで検索すると、 自治体や医師会が運営するウェブサイトから休日に受診可能な病院が確認できます。(例:東京都医療機関・薬局案内サービスひまわり)総合病院や救急外来などでも診療可能なこともあります。
※なお、別途夜間休日加算がされる場合や、夜間・早朝の受診は診療時間内の受診を勧められることもあります。
●オンライン診療
「アフターピル オンライン診療」などで検索し、オンライン診療で緊急避妊薬を扱っている医療機関・サービスを利用することもできます。スマホ等による遠隔診療を行い、お近くの薬局に処方箋が送付され緊急避妊薬を受け取ったりできます。医療機関によっては配送に時間がかかることも考慮し、できるだけ早い受診が勧められます。
オンライン診療の後、緊急避妊薬を医療機関から自宅まで郵送してもらうか、お近くの緊急避妊薬の研修を受けた薬剤師のいる薬局を指定し、処方箋をFAXしてもらい、薬局で購入することができます。(支払い方法含め、医療機関によって流れが異なりますので、詳細はお問合せください。)
▶オンライン診療での緊急避妊に関する研修を修了した医師の一覧(厚生労働省)
緊急避妊薬の取り扱いのある薬局は下記サイトも参照にしてください。
▶「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づき緊急避妊薬の調剤が対応可能な薬剤師及び薬局の一覧(厚生労働省)
▶緊急避妊ピルの入手希望・相談希望の方へHAPお勧め薬局(緊急避妊薬コンシェルジェ薬局)(NPO法人HAP)
●薬局での緊急避妊薬の取り扱いの試験的運用について
2023年11月28日から、全国の一部薬局で試験的運用が始まりました。
一定の条件を満たす全国145店舗の薬局で、医師の診察と処方箋なしで入手することができます。価格は7000~9000円ほどで、販売は16歳以上の女性が対象です。(※16~18歳未満の女性は保護者の同伴と同意が必要)
【試験的販売の緊急避妊薬入手までの主な流れ】
①調査事業サイトから4つのチェックボックスにチェックを入れ「確認しました」をクリックし、取り扱い薬局のリストを確認
②リストの中で、入手を希望する薬局に電話で連絡
※服用する本人の連絡・受取りとなります③薬局で薬剤師から説明を受け、調査への同意を確認
④薬剤師の面前で緊急避妊薬を服用
⑤アンケートへ回答
詳細や取り扱い薬局一覧は、こちらをご覧ください。
▶日本薬剤師会 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業サイト
緊急避妊薬を服用する必要がある?
避妊に失敗したかもしれない、緊急避妊薬が必要な状況かどうか確認したい、という方は、LINEボットで自動応答で相談できる「ピルコンにんしんカモ相談」もご活用ください。
通販サイトの緊急避妊薬・アフターピルは大丈夫?
日本国内で正規に流通している医薬品、化粧品や医療機器などは、医薬品医療機器等法に基づいて品質、有効性及び安全性の確認がなされていますが、個人輸入される外国製品にそのような保証はありません。通販サイト等で海外の並行輸入品の緊急避妊薬が取り扱われていることもありますが、偽物の薬である可能性があります。また万が一、副作用が強く出てしまった場合には、医薬品副作用被害救済制度で国からの補償が受けられない可能性があります。
なお、並行輸入品の転売は犯罪になります。他の人が買ったり、もらったと思われる薬の服用は避けましょう。
詳しくは⇒ 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ (厚生労働省)
4.緊急避妊薬使用時の注意点って?副作用や身体への影響は?
▶緊急避妊薬を薬局でプロジェクトウェブサイトもご参照ください
WHOによる緊急避妊薬の安全性に関するファクトシートの翻訳なども掲載しています。
▶緊急避妊薬には性感染症の予防効果はありません。コンドームをつけなかった、やぶれてしまったという場合には性感染症感染の可能性もあります。保健所や病院(男性は泌尿器科・皮ふ科など、女性は婦人科・産婦人科など)で、性感染症の検査もあわせておすすめします。
⇒詳細は、性感染症へ
どういう時に緊急避妊は必要?
・腟内に射精した、もしくは腟内に精液や男性器から分泌液(射精前を含む)が入った
・コンドームの失敗:コンドームが破れた、外れた等
・低用量ピルを飲み始めて7日以内に、3日以上の飲み忘れがあった
⇒低用量ピルを飲み忘れた場合の対応については、「ピル飲み忘れ対策フローチャート」(日本家族計画協会作成)が参考になります。
緊急避妊薬の注意点
・「緊急避妊薬があるから普段避妊をしなくて大丈夫」ということではありません。緊急避妊薬の避妊効果は100%ではありません。緊急避妊薬を普段の避妊法として使うのはおすすめできません。避妊の失敗があった時の緊急的な手段・備えとして覚えておきましょう。
・緊急避妊薬服用後に避妊のない性行為をすれば、妊娠の可能性は高まります。緊急避妊薬の服用により、排卵が遅れることがあります。そのため、避妊の成功が確認できるまで性行為を避けるか、効果的な避妊法の使用を考える必要があります。緊急避妊薬を服用した翌日から低用量ピルの服用を始めることも可能ですので、あわせて婦人科・産婦人科に相談することができます。
もし、緊急避妊薬を服用した後に無防備な性行為があった場合は、その性行為から72時間以内に緊急避妊薬を再度服用することで、妊娠可能性を下げることができます。
⇒詳細は、避妊へ
緊急避妊薬の副作用
・緊急避妊薬の副作用として、吐き気や頭痛などがおこる場合がありますが、嘔吐が起こるのはまれです。以前、中用量ピルを2回服用するヤッペ法では、副作用が多く見られましたが、2011年に認可されたノルレボという緊急避妊専用薬では、副作用が少なくなりました。もし副作用があっても一時的なものです。
・緊急避妊薬の服用後2時間以内に吐いてしまった場合、医師に相談して下さい。服用後2時間を経過しての嘔吐であれば薬の避妊効果への影響の心配はいりません。主治医の指示に従って服用するようにしてください。
もし避妊の失敗後、72時間を越えてしまったら?
緊急避妊薬は性行為から72時間以内に服用すれば、8割ほどの妊娠阻止率があります。72時間を越えた場合でも120時間以内の服用であれば避妊効果は落ちるものの、服用しないよりかは妊娠率を下げることが期待できると考えられています。120 時間を超えた服用では、その避妊効果は保障されていません。
また、性行為から120 時間以内であれば銅付加IUDの使用も選択肢として考えられます。産婦人科・婦人科を受診し、相談してみてください。
パートナーが避妊に協力してくれない…という時は?
イヤなのに性的なことをむりやりしたり、避妊に協力しないことは暴力です。付き合っている相手や好きな相手だからといって、していいことではありませんし、ガマンする必要はありません。悩んだり、困った時は、専門機関に相談することもできます。
性暴力・性犯罪の詳細は相談先について⇒詳細は、性暴力へ
デートDVに関する電話相談窓口:
●被害者を支援する相談機関一覧(内閣府)
●デートDV110番(認定NPO法人エンパワメントかながわ)
0120-51-4477
毎週火曜日 18時~21時 / 土曜日 14時~18時(年末年始を除く)
⇒詳細は、恋愛へ
5.緊急避妊の成功を確認するには?
緊急避妊薬の服用後、月経(生理)が起こることが避妊成功のサインと言われています。ただし、性器からの出血があっても、不正性器出血や妊娠初期の出血を月経と区別できない場合もあります。念のため、性交から3週間経過した時点で、市販の妊娠検査薬で妊娠を確かめてみてください。
もちろん、心配な時や、検査薬で反応が陽性に出たら婦人科・産婦人科を受診して下さい。
女性主体で確実にできる低用量ピルを検討するなど、パートナーと今後の避妊方法について見直すことも大切です。
イラスト: ippo.
⇒詳細は、避妊へ
[参考資料]
・日本産科婦人科学会 平成28年9月 “緊急避妊法の適正使用に関する指針”
6.ピルコンでは、緊急避妊薬のアクセス改善・薬局での入手を求める署名キャンペーン中!
\緊急避妊薬を必要とするすべての女性に届けたい!/
https://www.change.org/afterpill
ぜひ、ご署名・拡散のご協力をお願いします!
▶緊急避妊を薬局でプロジェクト
<よくある質問と私たちの考え>
Q1. 緊急避妊薬は副作用の強い危険な薬では?
2011年に認可されたノルレボ錠の吐き気や頭痛などの副作用は少なくなっています。多くの国では緊急避妊薬は既に安全性が確認されたとして約90カ国で薬局で入手可(2020年6月現在)となっています。一方で、中用量ピルを活用した緊急避妊(ヤツペ法)では吐き気などの副作用が強く、避妊効果も落ちますが、価格が安いことから未だに利用されています。また、諸外国では120時間以内であれば有効なアフターピル(ウリプリスタール酢酸エステル/エラ ella)も認可されていますが、日本では未だ認可されていません。効果の高いアフターピルを適正な価格で普及することが必要だと考えます。
WHOの見解として、緊急避妊薬は「服用できない医学上の病態はなく、服用できない年齢もない」と安全性を明言しており、「意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利があり、緊急避妊の複数の手段は国内のあらゆる家族計画プログラムに常に含まれねばならない」と2018年に勧告しています。
Q2. 緊急避妊薬のアクセス改善をすると悪用・乱用されるのでは?
WHOの報告では、緊急避妊薬のアクセス改善によって、「リスクの高い性行動を増やさない」、「女性は緊急避妊薬の情報を理解し正しく使用できる」と明記されています。
▶緊急時のレボノルゲストレル単独投与(緊急避妊薬)の 安全性に関するファクトシート(WHO,2010)日本語訳バージョン(緊急避妊薬を薬局でプロジェクト)
なお、今回署名キャンペーンで求めているOTC化は、緊急避妊を求める女性が薬局の薬剤師の対面販売を通して購入できるようにするというものです。いつでも避妊薬にアクセスできるのは、リプロダクティブヘルス・ライツで示される当然の権利です。悪用・乱用が懸念されるのであれば、避妊や支援先を掲載した啓発パンフレットを購入者に手渡すなどし、適切な利用の指導や、性暴力被害を受けている女性への支援介入機会としても活用すべきだと考えます。
Q3. 緊急避妊薬のアクセス改善をすると性感染症の感染者数は増えるのでは?
WHOの報告では、緊急避妊薬のアクセス改善が性感染症の増加や無防備な性行動の増加につながったということはなかったとあります。私たちは、緊急避妊薬購入時に避妊の啓発と共に性感染症についての正しい知識の普及も目指すべきだと考えます。どのように緊急避妊薬のアクセス改善との両輪で、性教育や知識を広げていくかという議論に発展させていきたいと思っています。
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